1240 eV nm

昨日、自分のblogの様子を見に来たら、アクセスカウンタが
1240になっていました。実に中途半端な数字ですね。
そこで(?)1240にちなんだ話を書きたいと思います。

唐突ですが、
光は、おおざっぱな捉え方をすれば、エネルギーの塊の
ようなもので、これを物質が吸ったり吐いたりする様子を
観察すれば、物質の性質について多くのことがわかります。
で、光のエネルギーの大きさは、その色で決まっています。
目に見える、可視光の場合は、色を表すのに、エネルギーの
単位ではなくて、その波長の単位であるナノメートル
表します。これはご存じの方も多いかもしれません。

でも、実はこれ、もう少し広い目で見ると、例外で
あることがわかります。例えば赤外線の色(?)は、少し
奇妙な単位ですが、1 cmの長さに含まれる光の波の数、
いわゆる波数で表す場合が多いです。単位としてはcm^-1で、
「ウエーブナンバー」とか読みます。この単位は、
エネルギーに比例しています。一方、紫外線よりエネルギーが
大きくなってくると、だんだんX線の領域になってきますが、
このあたりでは、これも奇妙な単位ですが、eV(エレクトロンボルト・
またはイーブイ)を使います。これは、電子を1 Vの電位差で
加速したときの運動エネルギーです。ですので、これも
エネルギーの単位です。つまり、一番なじみの深い可視光に
限って、エネルギーで表さないので、なかなか感覚がつかめない、
という事態に陥ってしまいます。これらはいわば、業界の習慣の
ようなものなのでしょうから、慣れてしまえば良いのでしょうが、
それでもやっかいといえばやっかいです。


で、いつになったら1240が出てくるかといえば、
このナノメートルと、イーブイを変換するのに、概算で、

イーブイ単位の値) = 1240 ÷ (ナノメートル単位の値)

なんですね。当然、逆も同じで、

ナノメートル単位の値) = 1240 ÷ (イーブイ単位の値)

です。

この関係を、もっとおおざっぱに、

「(nm) の逆数が (keV)、(keV) の逆数が (nm)」

と捉えるのも良いかもしれません。このkeVの読みは
「キロイーブイ」でも、もちろん正しいですが、
「ケブ」と読むと粋ですね。


例えば、赤い色で印象的なヘリウムネオンレーザーの波長は
約633ナノメートル(義務教育の年数と思えば、すぐに
覚えられますね)ですが、これは1.96イーブイという
ことです。よく見かける赤色のレーザーポインターも、
この程度の波長が多いです。

ついでに、もう少し考えると、物質を作っている化学結合
強さは(もちろん、いろいろですが)ものすごく大雑把にいって、
400 kJ/molといったところなので、これは大体4イーブイですから、
ヘリウムネオンレーザーの光のエネルギーの、だいたい倍ぐらい、
ということになります。ということは、あの赤い光をあてても、
物質は壊れないだろう、ということですね。
(きちんと書けば、一光子励起による単分子光分解は起こらいだろう、
ということです。)

昨日1240という数字を見て、思いつきで書いたので
面白くてなくてスミマセン。