本を読む速度

速読の方法ではありません。むしろ逆の話です…。


「速すぎる、読んでないだろ!」

と言われたことがあります。
ずいぶん昔の話ですが。

実際その通りでした。時間がなかったので、「数式をとばして」
とりあえず必要とされる範囲を読んだのです。
物理の本でした。1ページにいくつも数式が並んでいます。

「数式をたくさん含んだ本を、そんなに早く読める
はずがない、もっと時間をかけなさい。」

と言われました。確かに、
まだ内容は理解できていませんでした。

その後、数式を全て理解するためには、
「字を読んで、読んだとする」のに比べ、
何倍も、いや何十倍も、時間がかかりました。

でも、例え10分の1の時間で終わりまで読んでも、
理解していなくて、その知識が実際に使えないのでは、
仕方がありません。

数式をよく検討せずに自然科学の本を読むなんて、
さながら、漢字をとばして新聞を読む子供、
あるいは、スポーツの解説本を読むだけで、
体を動かさないおじさん、といったところでしょうか。
これでは、身につくとは期待できませんね。

(もちろん、その子供やおじさんの心意気は買いますが。)

もちろん、この先で何を学ぶのか、という意味で、
少し先まで、ざっと読んでみる、というのであれば、
それは有意義だと思います。

速読に限らず、もっと早く(もっと速く)とは、
いたるところで叫ばれ、求められていますが、
速すぎることを見て、それが誤りであることを
見抜いた、この人は凄いと思います。

世の中には、遅くなければならない事もあるのですね。