インフォマティブ と インディカティブ

もともと論文などの要旨を書く際の指針として使われる言葉です。

しかしこれは、一般に、何か話を要約しようとしたとき、「どのように要約するかの分類」を表していますので、論文以外の文章を書く場合にも有効だと思います。

まず言葉の意味としては、それぞれ
インフォマティブ(informative)→「知識を与える」
インディカティブ(indicative)→「暗示する」
ということです。

で、具体的に、その要約のタイプですが。「桃太郎」を例として、実際にそれぞれの方法で書いてみると…。

 桃から生まれた桃太郎が、犬、猿、キジを仲間にして、
 鬼を退治に向かい、成功して財宝を手に入れて帰ってくる話である。

というのが、インフォマティブ(informative)な要約、

一方、

 意外な出自の少年が、不思議な仲間と共に、
 強敵を倒すための冒険に出かけ、大変な結果を得る話である。

というのが、インディカティブ(indicative)な要約、

といった感じです。区別は、だいたいこれでわかるのではないかと思います。

それぞれの要約の方法は、必要な状況が違いますので、取り違えると、目的に合わない文章を書いてしまうことになります。

というわけで、何かの概要を示そうとするとき、インフォマティブが良いのか、インディカティブが良いのかを意識するのは、有効ではないかと思います。

私がこれを最初に知ったのは『Writing Scientific Papers in English』M O’Connor and F P Woodford (Pitman Medical, Kent, England 1978)という本からです。